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教える事から学ぶこと


技術を教えることほど難しいことはない。

感覚が大きなウエイトを占めるこの仕事にはマニュアルが存在しない。

まして、同じような仕事が世の中にあるわけでもなく、比較する物差しも存在しない。

この仕事の経験者がいるわけもなく、毎回全くの未経験者に仕事を教えていくわけだが、

どう伝えれば分かりやすいか?どこが難しいのか?

常に試行錯誤を繰り返しながら手探りで指導に当たっている。

教えられることも限られている。

自分がこれまで教えてもらったこと、キャリアの中で自分が身に付けた事、感じた事。

これ以上も以下もない。

なぜこれが分からないのか?こんな簡単なことが出来ないのか?

時に苛立ちを感じ、怒鳴りつける事もある。

厳しい言葉をかけながらも、それと同時に自分の指導力のなさを感じたりする。

これが一番良い方法。そんなものは未だ一つとしてない。

やはり常に試行錯誤。

自分が指導者としてできる事、しなければならないこと。一体なんだろう。

工作機械における母性原理を例えにするなら、マザーマシンの精度を越える製品は出来上がらない。つまり、指導者の力量を越える弟子は育たないという事か。

いや、人間の世界では時に師匠を越える弟子が現れる。

ただ、弟子の目標とする師匠は限りなく先を走る存在でなければならない。

そうあるために、指導する立場の者は常に先へ先へ、さらに高く、高く、己の技量を磨き続けなければならない。

ここ10数年。多くの若者を相手にして思うこと。

私はきっと彼らから多くの事を学び、そこから気づかされた何かを整理しながら

また歩き出しているのだと思う。

親方としてできることは、彼らが精いっぱい力を発揮できる環境を作る事だけ。

あとは私が技術者としてどれだけ成長できるか。

やはり一生勉強なのだと思う。

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