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先人に学べ

千葉工業大学 創造工学部 建築学科 石原沙織研究室の学生が見学に来てくださいました。

現在、教授を中心に学生の皆さんが杮葺の腐朽・劣化要因について調査研究を進められています。


弊社から板サンプルを提供したり、天然資源の状況や板製作の実際などをお伝えしながら研究のお手伝いをさせて頂いておりましたが、本日作業の実際をご覧いただく機会を頂戴しました。


実演を交えながら杮葺、杮板製作の概要を説明しましたが、未来の建築家たちは熱い眼差しで作業に見入っておられました。弊社としても、こういった伝統技術に興味を持っていただけること、大変嬉しく思います。


天然資源の減少や杮葺屋根の早期劣化、そして将来の担い手不足など我々を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。特に全国各所で散見される早期劣化の現状には頭を悩ませています。


これには様々な要因が複雑に絡み合っているため「これ」という解決方法は見つかっていませんが、文化財修理の一端を担う者として、技術的な部分も踏まえ、今一度初心に返って、この技術と向き合っております。


薬剤を注入したり、防腐剤を塗布したりと木材の耐用年数を伸ばす技術や素材は年々進化しています。

これは構造補強にも言える事で、耐震補強工事が非常に多くなってまいりました。


文化財を所有されている皆様にとっては「出来るだけ長くもってもらいたい」というのは切なる想いであることに間違いはありませんので、これらの技術を決して否定する立場にはありませんが、ただ、本当にこれだけで良いのか?

と思う気持ちもあります。


例えば「防腐剤を塗布したからOK」「補強したからもう大丈夫」

こういった安直な考え方に陥ってしまった場合、もはや職人としての技術や資質は低下していく一方なのではないだろうか?という漠然とした不安があるからです。


もちろん、そんな考えで進めているはずはないと思います。


何百年もの長きにわたり今日まで受け継がれてきた文化財は職人の英知の結晶です。

便利な機械や技術がなかった時代、どうやって後世に遺し伝えていくのか?

当時の職人は材料や技術と必死に向き合い、その想いを建物に吹き込んでいます。


その想いを繋いでいく事こそが私たちの使命だと思っています。


未来を担う若者たちの真剣な眼差しに触れるたび、多くの事を学び、刺激をもらいます。



もう一度「木を知る」事から始めようと思っています。














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