こけら板ができるまで
樹齢200年をこえる天然木から生まれる杮板
その製作工程を紹介します。
こけら板ができるまで
天然原木
樹齢200年をこえる天然木。年輪は緻密で柔らかく、加工性は高い。水に強く、昔から屋根材をはじめ桶やまな板などに使用されてきた。木曽の厳しい自然が作り上げた”宝物”
輪切り(玉切り)
製品寸法に合わせて輪切っていく。長さは1.0尺(30cm)が一般的。
みかん割り
大割り包丁とカケヤを使い、丸い木を6等分から8等分に割っていく。芯から放射状に割り、割ったものが「みかん」に似ていることからこの名前がついた。固い木や柔らかい木など、人間と同じで1本1本表情が違う。
分取り
定規を使って決められた寸法に割っていく。厚1.0分の板ならば1.6寸に割っていく。ここでの作業が最終的な製品の出来不出来に関わってくる。ただ割るだけではなく、材の良し悪しを見分ける眼が必要。
板へぎ
「こけらや」の真骨頂。分取りされたものを定規を使わず等分していく。厚さはおよそ3mm、もっとも熟練を要す工程。上質な木と卓越した技が融合する瞬間。※当地方では板を「割る」ではなく「へぐ」と呼ぶ。薄く剥いでいくことからこの名前がついたと言われている。
乾燥(こけら板)
1個で0.25坪分(畳半分)。小さな屋根を葺くだけでも膨大な量の板が必要となる。この状態で乾燥をかけ、出荷をまつ。天然材の風合いを感じて下さい。
動画で見る「こけら板」ができるまで
こけら板ができるまで
職人の手作業によって丁寧にこけら板が作られていきます。
こけら板ができるまで(ロングバージョン)
素敵な音楽に合わせて作業工程を紹介しています。
役物(やくもの)
こけら板の多くは長方形の形をしていますが、屋根の四隅や角などに使われるこけら板は特に「役物」(やくもの)と呼ばれ、特別な形状に作られます。
屋根の形に合わせて一枚一枚繊細な調整が必要となる「役物」は、特に高度な熟練の技が必要です。花形である役物を任されることは職人として大変な光栄であるとともに、大きな責任とこの上ない誇りを感じる時でもあります。
並べると湾曲するように美しく調整された「役物」。
手作業で板を一枚一枚調整していく工程は、職人の腕の見せ所です。
使われる道具
こけら板作りやこけら葺は、すべてが手仕事。職人の手となり働いてくれる「道具たち」を紹介します。
どの作業にも、それぞれ特殊な道具が使われています。
へぎ包丁
包丁の先まで神経がいくこと。
自分の手に合うよう念入りに研ぎこんでいく。
加工する材種や厚み、作る板によって使い分けていく。
(上から平包丁、役物用、厚板用)
木槌(きづち)
割り込むときに包丁をたたくもの。
桜や樫などを加工して作る。
大割、中割、小割の三種類。
大割り包丁
みかん割、分取り工程で使用する。
へぎ包丁に比べ大きく、厚い。
銑包丁
鉋と違い、ねじれや凹凸のある手割板を削るための道具。
熟練した職人にかかれば、鉋の仕上がりにも引けをとらない。
木口面、平面、曲面など様々な加工に用いられる。
分取り定規
様々な厚みに合わせ数種類の定規を用意する。
これも手作り。