余すことなく使うこと
サワラのへぎ板で網代を編んでみました。
見様見真似で作成した物ですので、その道のプロが見たら「あれ?」と思われるかもしれません。(少し違うところがあります…)
自分でいうのも何ですが、へぎ板の風合い出ていて、すごくキレイです!
実はこれ、屋根板の製作工程で出る端材を
利用して製作しています。
これらの端材は現在のところ、薪(焚き物)以外に用途がありません。
毎日の事ですので、膨大な量になります。
もったいないと思われるかもしれませんが、このような小物を作ろうと思うと手間や費用がかかり、コストに見合いません。結局のところ、最終的には焼却処分となってしまうのが現状です。
国土の70%近くを森林が占める日本では建物や内装品、什器や小物に至るまで、私たちの生活は森林の恵みの上に成り立ってきました。
「板へぎ」の技術も例外なく、森と向き合いながら独自の発展を遂げてきました。
しかし、環境保護が世界的にも大きな課題となり、木曽地域の天然林も保護の対象としてエリアが拡大されています。
伐採禁止エリアの拡大は我々の技術の継承にも支障をきたすかもしれません。
資源の保護は重要な課題です。ただ、資源の活用にも大きな意義があると思うのです。
今ここで1,000年以上の長きに渡り継承されてきた技術を絶やすわけにはいきません。
そこには木をあつかう「文化」や先人たちの叡智、何より、世界でも類を見ない「森林資源を巧みに扱う民族」としてのアイデンティティーがあると考えます。
これまで豊富な資源に支えられ、貴重な資源を無駄に使ってきたのではないかという反省はあります。
私たちに出来ること。
それは限られた資源を計画的に、そして「余すことなく使うこと」
独特の技や天然木の美しさを多く方に感じてもらう事。
最後は、頂いた分だけ森に返すこと。
山を切り開いてソーラーパネルを設置するような痛々しい状況を見るにつけ、想いは強くなっていきます。
一歩づつ始めよう。そう思います。