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2018年

○I君 大学院修士1年 2018/8/29~8/31(3日間)

 私は今まで木とは縁のない人生を送っていました。では、なぜ栗山木工のインターンシップに参加しようと家というと、文化財の修復、板へぎという技法や木曽に住む職人の姿を見たいという思いがあったからです。

 

 インターンの期間は3日間でしたが、振り返るとあっという間だったと思います。特に印象に残っているのは2日目です。その日は修復中の京都の清水寺へ加工した木材の納品に付き添いさせていただきました。栗山木工で加工した裏板と蛇腹が屋根の四方、端から端までびっしりと屋根下に組み込まれていた姿には圧倒され、これだけの木材を加工するのに使用された木材の量、そして掛けられた時間を想像して気が遠くなりました。また、修復には数年というスパンを要すること、建物に応じて寸法、種類等が異なること、「板へぎ」技術を残していくことの意義を教えていただきました。

 このインターンを通して自身の職人のイメージ像が大きく変わったと思います。これまでは、職人という職業についている人はどこか硬く、こだわりの強い感じを持っていました。しかし、このインターンシップで職人の皆さんと触れて、むしろその逆で人として柔軟な印象を受けました。しかし、木と向き合っている際の姿はとても真剣で真っ直ぐでした。自分の接して来た人たちの中では研究職の人たちと似ているなと感じました。

 社長とお話した際に「自分はやれることをやっているだけだ、他の働いている人と同じだ」と仰っていたことが印象に残っています。職人と聞くと自分は普通の仕事とかなり隔たったっていると感じていたので、職人の方からその言葉をお聞きして、職人もあくまで仕事の1つなのだと教えていただきました。

 

 また、3日間でへぎ板の加工を追っていく体験をさせていただきました。その中で、刃物を入れた際に木がどの様に割れるのか、木材の種類による見た目や性質の違い、剥いで加工する意味を教えていただきました。特に、へいだ板の凹凸が屋根を屋根を長持ちさせると言うのは驚きでした。長い年月の中、多くの人の手によって技法が修練され今に至るのだと思い、この技法を後世に引き継いでいくことの重要性を感じました。

 板へぎを体験では、職人さんの近くでさせていただきました。職人の皆さんは難なくへいでいくのですが、板を均等にへいでいくのは見た目に反して非常に難しかったです。長いあいだ板へぎをしていると、足で板を固定するだけでその厚さがわかるようになるということをお聞きし、感覚をものにしていくまでには時間がかかるのだと痛感しました。

 最後に、お忙しい中3日間受け入れてくださりありがとうございました。栗山木工が携わっていること、文化財修復の現状などを自分の目、耳で感じることが出来ました。この経験を自分の中で昇華して今後に役立てて行ければと思います。重ねて、お世話になった皆さん、3日間本当にありがとうございました。

 

※このインターンシップは「信州産学官ひとづくりコンソーシアム」の協力を得て実施しております。

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​◆担当者から

 総合理工学研究科の学生からの申込み。専門は天文学。一見「ん?」。わたしたちの仕事と何ら関係性のない彼との実習は「みかん割」から始まりました。大きな木を目の前に汗だくになりながらの作業。彼に応募の動機を聞いてみました。どうやら、休みの日に「奈良井宿」に訪れ、宿場町の古民家の天井に「へぎ板」を見つけたことから、「これどうやって作るんだろう?」。それが気になって、木になって…これが彼の最大の動機だったのです。

 3日間という短い期間で、やや詰め込むような実習になってしまい、少し反省をしていますが、ちょうど清水寺の現場納品にあたり、彼にとってはこの上ない貴重な経験になったようで、ホッとしています。

 最終日には「板へぎ」大変もすることが出来たので、私たちとしては一応一通りの経験はして頂けたかな?と感じてています。

これから進むべき道は、私たちと離れてしまいますが、宇宙を研究するのと同じくらい、私たちの世界も奥の深いもの。これから先、計算では片付かないこと、たくさんあります。手で触れ、肌で感じることの尊さ、大切さを少しでも​感じていただければ幸いです。「可能性は無限大」貴重な時間をありがとうございました。

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