触れることでしか見えてこないもの
当社で一番使うのは木曽の「天然サワラ」
これは誰が見ても美しい、ホントに素晴らしい木材です。
出材がどんどん減って、貴重な木材になりつつありますが、そうは言っても全国の建造物の
おおよそ半分は「サワラの杮葺」。
柔らかく素直なこの木は屋根の美しい曲線によくなじみます。
さて、当社では全国の様々な現場から依頼を頂き、サワラのみならず色々な樹種を取り扱います。杉、クリ、松(カラマツ)、ヒバ、ヒノキ、ネズコ(黒部スギ)…
すべて「へぎ板」のご注文。
新しい木との出会いは多くの発見があり、ワクワクします。
この頃ずっと触っていたのは、「カラマツ」
長野県南相木村の村営住宅を地元のカラマツで建設しているのですが、当社へのオーダーは「部屋の内装に使用する壁用のへぎ板」
へいだ後、しばらくすると何とも言えない光沢が出ます。飴色に輝く板。素敵ですね。
加工はちょっと大変。やんちゃな木なので、機嫌を伺いながら割っていく感じ(^^;)
寄り添ってあげると、ほんとに素敵な表情を見せてくれます。
こちらは「野根板(のねいた)」と呼ばれる長さ1mほどの「へぎ板」
厚みは1.5㎜~2㎜程度。
ネズコや杉、サワラが使われますが、これだけ長く、そして薄くへぐためには、少しばかりの
熟練を要します。
庇の化粧裏板や壁、天井材などに使われますが、文化財の修復となると、1枚だけの取り換えでも、この板が必要になります…(1枚って…)
少しでも力加減を間違えると…板が裂けてしまって………(やり直し)
体中の感覚をすべて研ぎ澄まして、板から伝わる感覚のみを頼りにへいでいきます。
その他、厚いもの、もっと長いもの、すごく短いもの…
用途や仕様部位によってへぎ分けます。
こうやって、様々な木を触っていて感じる事。
木によって、割り方、へぎ方、全然違うという事。口ではうまく説明できません…
ただ一つ、言える事。それは
「みんな違って、みんないい」
いい仕事に巡り合えたな。つくづく思います。