伝えるということ

久しぶりの更新です。

私が入社した当初は、身内だけの会社で家内制手工業という言葉がぴったりくるような環境でした。もちろん、会社見学などもほとんどなく、ましてインターンシップ等と言う言葉は、この職場には無関係の物でした。

私も仕事を覚える事で精一杯で、周りのことなどには目もくれず、ただひたすら腕を上げることだけに集中していました。

そんな時、ふと周りを見渡したら、年輩の職人さんの中に若いのは自分ひとり。

「この先、どうやって仕事を進めていくんだろう…」

そう思ってから環境は劇的に変わってきました。採用活動の開始です。

「先ずは知ってもらわなければ」という思いから、作業場を開放して見学に来てもらったり、

職場体験を受け入れたり、もちろん、ハローワークという所に求人票の記載方法を聞きに行って、求人を出してみたり、地元高校の先生と話す機会を設けたり…全てが手探りの状況でした。

その甲斐あってか、次第に若手職人が増えてきました。

つぎは仕事を教える事。実はこれが一番、大変でした。

全くの素人に教えた経験のない会社。人を育てた経験のない会社だったのです。

試行錯誤を繰り返し、時にはお互いが悩み、残念ながら、その中で去っていく者も多くいました。未だ充足している状況とは言えません…

私が社長になってからは、採用活動は変わらず実施していましたが、

より多くの方にこの技術を知ってもらいたい。

この会社、この業界のファンを増やしたい…そんな想いから、採用活動のみならず

多くの場所にでかけ、多くの方々に来社してもらい、その都度、私の想いを強く訴えてきました。新聞等の取材も受けるようになりました。

これまで走り続けてきて、この頃になって思うこと。

入社した職人に仕事を教える事、不特定多数の方に技術の大切さ、木や自然の大切さを訴える事、一見違うようで、実は同じではないかと…

何かを伝えるとき。

そこには必ず受け手がいます。

分かってもらいたいと思えば、相手がどう考えているか、どういう事に価値観を感じているか…など、受け手側に合わせて伝えなければ、自分との間に大きなギャップが生まれます。

ただ、合せれば合わせようとするほど、自分の真意とは離れた方向に進みます。

このギャップに多くの時間、悩み続けてきました。

会社見学に来てくれた学生や、インターンシップに参加した学生、そして日々、若手職人と

一緒に仕事をしながら、「もしかしたら、自分の価値観を押し付けていただけなのかもしれないな。」そう感じます。

伝えようと強く思えば思うほど、言葉は多くなります。それが逆に自分も含め、困惑を招くのかもしれません。

この仕事に、言葉は要らない。

もう一度、原点に返って黙々とそして淡々と板をへぎ続けよう。そう思います。

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