森に生かされている
先日、森林管理署の方に木曽郡上松町にある赤沢美林を案内して頂きました。
伊勢神宮の御用林でもある森の中には、樹齢300年を越す木曽檜やサワラの大径木が風格ある趣と共に静かに立っていました。
保護林ですので伐採することは基本的にありませんが、木曽の森林の懐の深さを垣間見る瞬間です。
まだまだ雪深い森の中を歩きながら、これまで用材として使用されてきた歴史や、保護を受けるまでの経緯など、様々な事を教えて頂き、改めて勉強させて頂きました。
江戸時代、築城や造営により、強度の伐採が行われ、木曽の天然林は枯渇化する恐れがありました。
そこで「木曽五木」と言われる檜、サワラに代表される指定木は伐採禁止とし、厳しい保護の下に置かれました。そのおかげもあってか、現在でもこの地域には天然林が豊富に残っています。
ところで、この「天然林」と言われる森ですが、これまでも多くの人の手が入ることによって、変わらない佇まいを保っています。
しかしながら、これだけ豊富に高樹齢の針葉樹林が残っている地域は、世界的にみても非常に貴重なことから、伐採を全く行わない強度の保護政策が行われようとしています。
伐採を行わないという事は、人が森に入らなくなることを意味します。
「木曽五木」が伐採禁止になったことで、地域の人々はそれ以外の木材を住宅や燃料に使いました。栗で住宅を建てたり、ナラなどの広葉樹は薪として利用され、人々の生活を支えていたのです。
その結果、針葉樹林の森が残ったという事になります。
「悠久の森」に代表される天然資源の保護は確かに大切なことです。
しかし、他方で「人と森」の関係を断ってしまったら、森は一体どうなってしまうのか…?
皆さんにも考えて頂きたいと思います。
板へぎを通じて、貴重な天然資源を頂戴している私たちが出来る事。
それは「人と森」を結ぶ架け橋になることではないでしょうか。
静寂の森の中を歩きながら、豊かな森があることによって支えられてきた「生活・文化」がここにあることを、しっかりと伝えていかなければならないと感じました。