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一歩先へ


「野根板」をご存知でしょうか?「やねいた」ではなく「のねいた」と呼びます。

写真のような茶室の天井などによく見られます。

私たちの屋根材の加工も「板へぎ」と呼びますが、野根板製作も同じように「板へぎ」と呼ばれています。

屋根材は通常3㎜程度の厚みで加工します。薄くても厚み1.8㎜までくらいでしょうか。

長さも30㎝前後が主流で、長くても60㎝程度。

一方、野根板の寸法は、長3.25尺(1m)×厚3厘(約1㎜)×巾5.0寸(15㎝ほど)

と私たちの扱う屋根材とは一線を画します。

もちろん、使用する原木も最上級の天然木が必要ですし、紙のように板を薄くする技術は私たちの上を行きます。

特に網代編みに使用される「へぎ板」は厚み0.5㎜にまでもっていきます。

ここまで薄くしないと、写真のような網代を編むことができません。

実は、これらの技術を持っている方が、木曽に2人おられます。

小林鶴三さん(上松町 小林板へぎ店)と西田源一さん(大桑村)です。

お二人とも「森の名手・名人」に選ばれ、現在も現役バリバリです。実際に作業を間近で拝見したことはありませんが、同じ「板へぎ」に携わる者として、その技術力には敬服します。

0.5㎜まで薄くされた「へぎ板」は、もはや紙のようで、まさに良質な木曽の天然木と高い技術力の結晶。小林さんの板へぎの様子はYouTubeでも見られますが、思わず息をのむ瞬間です。

しかしながら、良質な天然木の減少が、技術の存続に危機的な状況を作り始めています。

こういった我が国、そして何よりも「地域の技術を絶やしてはいけない」。

私たちの手で、「出来る事なら残したい」。強く思うようになってきました。

一歩さきへ進んでみようと思います。

始めて動画でみた小林さんの手さばき、足さばきが、脳裏に焼き付いて離れません。

板を「へぐ」という事。

おそらく野根板に始まり、野根板に終わる。そんな気がしています。

挑戦は続きます。

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