「音」から感じる事
日本テレビ「音のソノリティ」という番組の取材を受けました。
この番組は日本各地の風景やその場所でしか聞くことのできない「世界でたった1つの音」に注目し、ナレーションは最小限、BGMも使わずに「音」を紹介する番組だそうです。
弊社職人の栗山光博が取材対応しましたが、出来るだけ他の音が入らないように昼休みを使って撮影が行われました。いつも通り、私は回りで動き回っていましたが、音を立てないように「抜き足、差し足…」。せき払いも堪えるくらい緊張感のある撮影でした(苦笑)
放送日は未定ですが、ご興味のある方は、ご覧下さい。※番組HP「音のソノリティ」
撮影風景をそばで見ながら、ふと私が仕事を始めた頃を思い出していました。
まだ祖父も元気なころで、よく私の作業を見に来ました。黙って近づいてきて、隣に腰かけ、しばらく作業を見てから、何も言わずに帰っていきます。
何度か繰り返すうちに、何も言わない祖父が気になって「なんで何も言わないの?」と聞いたことがありました。すると祖父は
「割っている音と作業屑で上手いか下手かはすぐ分かる」
そう言って帰って行ったのを覚えています。
当時は何の事かさっぱり分かりませんでしたが、20年近くが経過し、この頃少しその意味が分かってきたように思います。
切れる刃物で削った時の音、うまく割れた時の音、固い木、柔らかい木、厚い板、薄い板…
五感を研ぎ澄ませていくと違いを感じることが出来ますし、熟練してくるにつれ、奏で出す音も美しくなってくるような気がします。
私もまだまだ。若手職人も必死になって技術研鑽に励んでいます。
いずれベテラン職人が引退し、若手中心の会社になっても
この作業場に美しいハーモニーが奏で出せるような、そんな職人集団でありたいと思いました。