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板へぎ考


こけら板を製作する技法は、大きく分けて「関西遠州流」と「出雲流」の2つの流派があります。

以前は各地域に様々な手法があったようですが、現在はこの2つの技法が主流です。

我々の技法は「関西遠州流」と呼ばれるもので、大きな特徴として「足」で押えながら板をへいでいきます。一方、「出雲流」と呼ばれる技法は、あぐらをかいて「こじ台」と呼ばれる溝の部分に板を入れて「こじ」ながら板を製作していきます。

どちらの技法を用いても同じように板を製作できますが、我々の手法が最も得意とするのは「薄い板」の加工です。反面、厚くて硬い木には基本的には不向きです。こちらは「出雲流」の方が得意とする分野です。ただ、出雲流でも薄い板を我々と同じように製作できるのですから、すごいです。

屋根工事における材料仕様の基準は「現状回復」

サワラで葺かれていればサワラ、杉ならば杉。栗ならば栗。厚みや長さも基本的に従来通りの仕様となることが多いです。

現在「栗」の杮板を製作していますが、これまでは手を出せなかった樹種。

材の入手も困難でしたし、なにより技術的に難しい部分がありました。

「栗山木工なのに栗できないの?」なんてからかわれながらも、お断りしていました。

ところが、全国の物件に携わらせて頂くうちに、「栗」にぶつかる事が多くなりました。

もともと家の土台に使われる材料。水に強く、耐久性も高い。そんな特性から屋根材としても重宝されて来たんですね。

栗の加工を始めて2年くらいが立ちますが、試行錯誤を繰り返し、ようやく「こんな感じなのかな?」と思えるところに来ました。もちろん、道具や「へぎ方」も改良を重ね…。

一番に感じることは、これまで使用してきた材料(サワラ)がいかに素直で使いやすかったか。

栗の木を目の前にすると、考え方も180°変わります。

始めた頃は苦痛で、「ほんとに出来るのか?」悩み続ける毎日でしたが、今は逆に感謝しています。

様々な樹種に挑戦していくことは会社の財産になっていきます。

若手も増え、多くの経験をつんでもらいながら「板へぎのスペシャリスト」になってもらいたい。

そんな思いから共に汗を流しています。

まだまだ完成は見ません。相変わらず毎日が試行錯誤…「木苦労」の連続です。

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