適材適所
木曽地域ではヒノキやサワラ等の国有林材の販売が毎月1回行われます。
これに合わせて「土場」と呼ばれる物件(原木)所在地へ下見に行きます。
本日も行って来ましたが、木曽の山の中を半日かけて回ります…。
天然の木曽ヒノキやサワラの出材は年々減少し、10年前と比べると良材は激減しています。
「へぎ板」加工を行うには、写真左のような、節のない目がまっすぐ通ったキレイな木が最高です。ただ、こんな木はめったに出てきません。
多くの現場をこなして行くためには、ある程度の数量を確保する必要があります。
以前では手を出さなかった節が多かったり、捻じれていたり、大穴があいていたり…(写真右)。そんな「クセ」の多い木たちが弊社の土場にも増えてきました。
良材が少なくなったことで、作業効率は以前に比べたら落ちているかもしれません。
ただ、これまで以上に「木と向き合う」時間が増えました。
写真左と右の木は、同じ産地の木。
ただ節があったり、クセがあるだけで「同じサワラの木」なのです。
地に根を張り、枝を伸ばし、一生懸命に生きてきた証がここに並んでいる木たちです。
人間が使いやすいように自分たちの都合で、等級を上げたり下げたり…。
これまでは贅沢をしてきたものだと痛省します。
私たちの仕事が「木を生かす」ことであれば、本来やらなければならない事は
300年近く生きていた木に真摯に向き合い、余すことなく使う事です。
良材が減っていくことは死活問題になりかねません。
ただ、私はこの状況を落胆してはいません。なぜなら、もう一度、技術を上げる最大のチャンスなのですから。