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木(器)用貧乏


「どんな人がこの仕事に向いていますか?」

採用活動を進めていく中でよく聞かれます。


「体力と忍耐力のある人ですかね」そう答えます。


私も20年以上、この仕事に携わっていますが、

果たして私はこの仕事に向いているのでしょうか??


そうは言っても私たちは「ものをつくる」仕事をしていますので、向き不向きは、もちろんあります。

器用な人は仕事を覚えるのも早いし、なんでも卒なく

こなしていけますよね。(うらやましい)


私の場合は…と考えてみると。

結局のところ、木が好きなんでしょうね。


仕上がった板を見ていると、やっぱりキレイです!


さて、本題です。


器用な人よりも不器用な人の方が、最後は大成する。

「器用貧乏」という言葉は、私たちの仕事にも通じるものがあるような気がします。


器用な人は何でもすぐに出来てしまうので、努力を怠る傾向があります。

(そうではない場合もあるので悪しからず…)


反対に、不器用な人は努力しないと置いてかれてしまうので、必死に頑張ります。

ただ、苦労も多いし、悩みも絶えません…。正直つらい事ばかりかもしれません。

ここで折れてしまう人は、辞めてしまいますね…。


でも、そうやって必死に仕事と向き合ううちに、次第にわかってくる時があります。


器用な人が1年で覚えることを、不器用な人は、その2倍も3倍もかかります。

あっちいったり、こっちいったり、回り道をしながら努力した時間、その時感じた景色、

これが何よりの財産になったりします。


器用な人が新幹線だとすると、不器用な人は鈍行列車。

新幹線では見られない美しい景色が車窓から眺められるはずです。


今、必死になって仕事を覚えようとしている若手の職人を見て、

目的地は一緒。だったら、少し回り道したっていいんじゃない?

そう思えたら、少しは気持ちが楽になるのかな?なんて思います。


そうは言っても「納期」というものがある。現場は待ってくれません!


あまり悠長なことは言ってられませんが、私も悩み多き日々を過ごしていますので、

自分に対する慰めだったりもします(苦笑)


半袖から長袖、そしてジャンパーを羽織るようになってきた、ここ木曽の冬も

もうそこまで来ています。


そして私たちは明日も変わらず割り続けます。



Komen


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